子宮筋腫の原因
子宮筋腫の原因としては、主に卵巣で生成される女性ホルモン(卵巣性ステロイドホルモン)が関係しているといわれています。というのも、子宮筋腫は月経前の女性にはほとんど発生せず、月経が終了する年齢になると、それまであった子宮筋腫が小さくなることなどが報告されているためです。
そのため、月経を起こしている卵巣性ストロイドホルモンが子宮筋腫の原因であると考えられていますが、子宮筋腫を生み出す細胞がどこから来るのか分かっていない部分も多く、東洋医学では血行不順や冷え性などが子宮筋腫の原因であるとされています。
とはいえ、卵巣性ステロイドホルモンが大量分泌される妊娠期になると子宮筋腫の成長スピードが高まることや、卵巣性ステロイドホルモンの分泌を抑える薬を使用すると子宮筋腫が小さくなることから、卵巣性ステロイドホルモンが子宮筋腫の発育を促進していると考えられます。
卵巣性ステロイドホルモンは、エストロゲンやプロゲステロンとも呼ばれており、化学合成されたエストロゲンなどを餌としている家畜のコレステロール部分などにも多く含まれています。
そのため、子宮筋腫になったらコレステロールを抑える食事をするなど、食生活の改善などが求められます。
子宮筋腫の症状
子宮筋腫の症状として、もっとも代表的なものに過多月経が挙げられます。
子宮に筋腫ができると子宮内膜が大きくなり、剥がれ落ちる内膜量が増えるため、月経量が増加します。また、子宮が硬く収縮しにくくなるため、月経期間が長くなりますし、月経痛もひどくなります。
月経量が増加すると、貧血になりやすくなり、動悸や息切れ、めまいなどの症状が起こります。また、筋腫が大きくなると周りの臓器や神経を圧迫し、腹痛や腰痛など、様々な症状を引き起こします。また、膀胱が圧迫されると頻尿に、腸が圧迫されると便秘や下痢になりやすくなります。
筋腫が腹部に出てきた場合は、堅いしこりとなり、肌の上から触ることができます。
筋腫が子宮内腔にできた場合は、筋腫の表面から粘液などが分泌されるため、おりものが増加したり、血が混ざることがあります。
子宮筋腫は、成人女性の20~30%に生じているといわれており、決して珍しい病気ではありません。
放置しておくと肥大化することもあるため、子宮筋腫の疑いのある症状が出てきた場合は、婦人科の診断を受けましょう。
子宮筋腫の大きさ
子宮筋腫の大きさは、肉眼で見えないほど小さいものから、触ってしこりを感じることができる、妊娠に間違えられるほど大きいものなど様々です。
子宮筋腫は成人女性の4人に1人がかかっていると言われていますが、そのほとんどがとても小さな筋腫であり、治療が必要なものではありません。
また、こぶし大より小さな子宮筋腫であれば、腹痛や月経過多、貧血などの症状が現れることもありますが、薬や生活習慣の改善などにより縮小することが多く、経過観察の対象となります。
しかし、筋腫がこぶし大より大きくなった場合は手術療法が必要となり、子宮を全摘出する全嫡術か、部分摘出による核手術が行われます。ただし、筋腫の種類や症状の重さなどによっては、筋腫の大きさに限らず手術が必要な場合もあります。
筋腫が子宮の内側にできる粘膜下子宮筋腫の場合は、筋腫の大きさが10センチを超えたあたりから手術に踏み込む場合が多いですが、筋腫が子宮の外側にできる漿膜下筋腫の場合は、自覚症状などが少ないため、筋腫が10センチ以上になっても経過観察を続ける場合が多いといいます。
良性の子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮にできる腫瘍ですが、基本的に命に関わることはなく、他の部位に転移することもほとんどないため、すべて良性であるとみなされています。
また、成人女性の2割以上の方が子宮筋腫を持っているといわれており、珍しい病気というわけでもありません。
しかし、良性だからといって放置しておくと筋腫が大きくなり、腹痛や出血を起こしたり、妊娠できなくなるなど、様々な弊害を起こす可能性があります。
そのため、子宮筋腫が発見された場合、定期的に病院へ通い経過観察を行うことが大切です。
また、子宮筋腫とよく似ている病気に子宮肉腫というものがあります。
子宮肉腫というのは、子宮に肉腫やガンが生じる病気であり、ガンができている場合、命に係わる危険もあるため、早急に手術することが必要です。子宮肉腫は、子宮筋腫と比べると成長が早く、他の部分に転移することもあります。
また、子宮筋腫から子宮肉腫に発展するケースもあるため、子宮筋腫や子宮肉腫の症状である出血や腹痛が見られたら、CTやMRIの設備がある病院に行き、画像検査してもらいましょう。
悪性の子宮筋腫
子宮筋腫は、基本的にすべて良性の筋腫であり、成長速度も遅く転移することもほとんどないため、必ずしもいそいで治療しなくてはいけないというわけではありません。
しかし、子宮にはごく稀に悪性の腫瘍が発生することがあり、そのほとんどが子宮筋肉腫とよばれる腫瘍です。子宮筋肉腫は、子宮筋にできる肉腫、あるいはガンです。
子宮の上皮から発生する腫瘍が「ガン種」、その他の部分から発生するものを「肉腫」と呼びますが、一般的にいわれる子宮頸癌・子宮体癌は、子宮の扁平上皮・腺上皮から発生する腫瘍であるため、ガンと呼ばれます。
子宮筋肉腫は、超音波検査やMRI、CTでも子宮筋腫と同様の所見を示すため、子宮筋腫と見分けがつけにくく、診断ミスを起こすことがあります。子宮筋腫だと思ってガンを放置した結果、ガンが他の部位に転移してしまい、場合によっては死亡に至る恐れもあります。
いわゆる悪性の子宮筋腫といわれているのは、この子宮筋肉腫ですが、子宮筋肉腫を早期に発見するためにも、婦人科で定期検診を受けることは大切です。
子宮筋腫と診断された場合も、何か異常を感じた場合は医師に相談してみましょう。
不妊と子宮筋腫の関係
不妊の原因のひとつに、子宮筋腫が挙げられます。子宮の中に筋腫ができると、子宮が大きくなり、形状異常が起こるため、受精卵が着床しにくくなるといいます。
特に子宮内腔に筋腫ができる粘膜下筋腫の場合、子宮内に避妊リングをいれているようなものですので、さらに妊娠の可能性が低下します。
また、子宮筋腫になると子宮が硬くなり、些細な刺激で収縮するため、せっかく着床しても流産してしまう可能性が高まります。原因不明の不妊や流産が続いているという方の中には、子宮筋腫にかかっている方も少なくないといわれています。
というのも、現在は成人女性の2~3割近くが子宮筋腫にかかっているといわれており、知らない間に筋腫ができている方も多いためです。
実際、いざ妊娠しようとしたときに子宮筋腫が発見されるケースも多く、手術などで筋腫を取り除いたあとは、妊娠・出産の割合が向上するといわれています。
ただし、子宮筋腫があるからといって必ずしも不妊になるとは限りません。
子宮筋腫を患ったままでも、安静を心がけることで無事出産できる場合もあります。とはいえ、子宮筋腫になると流産だけでなく早産も可能性も高くなりますので、お腹の張りや痛みには十分注意する必要があります。
子宮筋腫と東洋医学
西洋医学において、子宮筋腫は女性ホルモンの分泌異常などが原因で起こるものとされており、対処法もホルモン療法が一般的です。
一方、東洋医学において、子宮筋腫はストレスや身体の冷え、睡眠不足などにより、子宮周りの血行が悪化することで引き起こされると考えられています。
ストレスは、血液を蓄える作用を持っている肝機能を低下させ、全身の血の巡りを悪くさせます。東洋医学では、子宮筋腫を含め、腫瘍は「オケツ」と呼ばれており、血の滞りによって生じるといわれています。
そのため子宮筋腫の治療法も、止血作用や血の流れを改善するための生薬(活血薬)を使用することが一般的です。
また、血液を動かしているのは「気」の流れであるという考え方があり、補気薬や理気薬と呼ばれる気の流れを良くするための生薬も使用します。
また、身体を温めるための生薬の使用も一般的であり、活血薬を中心に、症状や体質に合わせて適切な漢方薬を処方します。
また、鍼灸治療も血行改善の効果が高く、時間をかけて体質を改善することで、子宮筋腫をじっくり治療することができるといいます。
子宮筋腫にかかる治療費
子宮筋腫は良性の筋腫といわれており、成長スピードも遅いため、はじめは薬や生活習慣の改善を行い、筋腫が小さくなるか大きくなるか経過観察を行います。
軽度の子宮筋腫であれば、治療が必要ない場合もありますし、鎮痛薬や漢方薬などを使用するだけで改善させる場合もあります。
しかし、もしも筋腫が薬で抑えられないような場合は、手術や超音波治療を行います。
子宮筋腫の治療法は、子宮をすべて摘出する全摘術と、筋腫だけを切除して子宮を残す核出術があり、筋腫の進行具合などによって、通常の開腹手術か腹腔鏡を使用した手術が行われます。
一番治療費がかからないのは開腹手術であり、治療費は大体19万円前後(麻酔料・入院料・手術後の検査料など含む)、高額療養費制度が適用される場合は85,000円前後になります(世帯所得などで異なります)。
一方、腹腔鏡を使用した核出術の場合29万円前後かかります。また、手術以外にも子宮動脈塞栓術(UAE)や集束超音波治療(FUS)があり、いずれも子宮は温存できます。
しかし、UAE もFUSも保険が適用されないため40~80万円程度かかります。
子宮筋腫に良い食べ物
子宮筋腫ははっきりとした原因が分かっておらず、子宮筋腫に確実に効果があるという食べ物もまだ見つかっていません。
しかし、多くの生化学的な実験結果から、子宮筋腫の改善にある程度効果を感じられる食べ物はいくつかあるようです。
代表的なものとしては、ハスの実、きくらげ、ウツボグサ、ケイトウなどが挙げられます。
ハスの実は、1回10gを粉末状にして飲み、1日3回のペースで飲み続けると子宮筋腫に効果があるといわれています。また、医食同源を実践している漢方治療の分野では、薬、川キュウ、牡丹皮、紅花、田七人参、延胡索など、活血薬と呼ばれる血の巡りを良くする生薬が使用されています。
特に芍薬や延胡索には鎮痛効果、田七人参には高い止血効果があるといわれており、子宮筋腫による痛みや貧血などを抑える働きをします。
また、西洋医学では子宮筋腫はホルモンバランスの乱れによって生じるとされており、特に女性ホルモンを過剰分泌する要因となっているコレステロールの高い食べ物(肉類)の摂取を抑え、豆乳ではなく豆腐や納豆などの大豆製品に切り替える、お酢を摂取することなどが良いとされています。
子宮筋腫の生活改善
子宮筋腫の原因はまだはっきりとはしていませんが、西洋医学ではホルモンバランスの異常、東洋医学では冷え性が関係しているといわれています。
そのため、ホルモンバランスを整える食生活を心がけたり、不正出血に効果の高い漢方を服用するなど、食べ物・漢方薬から子宮筋腫にアプローチする方法と、身体を温めて冷えを治す方法が有効であるといわれています。
また、西洋医学でも東洋医学でもストレスが原因とする見方もあります。ストレスは、ホルモンバランスを乱す原因となりますし、ストレスにより血管が収縮すると、血行不順となり冷え性に繋がります。
そのため、趣味をする時間を増やしたり適度な運動を行うなど、ストレスのない生活を続けるということも子宮筋腫を予防するためには大切です。子宮筋腫に効果的な食べ物としては、ハスの実、きくらげ、ウツボグサ、ケイトウなどが挙げられます。
また、根菜類など身体を温める食材を中心に、温めた食べ物を摂るようにし、消化に時間のかかる乳製品や油脂の多い食品、甘いものなどは避けた方がよいといわれています。